厳選した素材の良さを生かしながら、洋食も取り入れたコース料理

日本三大八幡宮の一つとして知られる、福岡市東区「筥崎宮」。その周辺は江戸時代から唐津街道に面した宿場町で、以前は九州大学を中心とした学生街でもありましたが、キャンパス移転後はその街並みがどんどん変わりつつあります。今回はそんな筥崎宮参道の近くにある「筥崎こ村」を初訪問しました。

大将の古村和久さんは地元・箱崎の出身で、春吉の名店「久岡家」で修業した後、2008年に筥崎宮のすぐ横で独立開業。昨年10月、300メートルほど離れた箱崎新道沿いに移転したばかりです。新築マンションの1階ですが店内は木の扉や格子などをあしらった町家風の内装で、ゆったりと落ち着ける雰囲気です。

今回注文した5,500円のおまかせコースは、小鉢3品に造り、焼き物、メインの肉料理か魚料理、揚げ物、ご飯物、デザートのランナップ。写真は、冬が旬の寒サワラを醤油・酒・味醂などに漬け込んだサワラの幽庵焼きに、タタミイワシ、ギンナンの素揚げ、新玉ネギの焼き物。薬味は大根おろしの他、モロミ味噌が新玉ネギの甘みと良くマッチしています。

この日のメインは旬のアラを使った料理。アラからとった出汁で切り身をセイロ蒸しにすることで、さらに魚の旨みが凝縮されたような味わいです。この出汁をたっぷり吸い込んだ豆腐がこれまたうまい！　ポン酢も添えられますが、その助けを借りずとも天然のアラの旨みを存分に味わうことができました。
その日の献立によっては、和牛のサーロインなどの肉料理が出されることもあるというので、そちらも是非食べてみたいものです。

そして、何と〆のご飯ものは、「常連さんにもファンが多いんですよ」という特製ハヤシライス。和牛のテールをデミグラソースでじっくりと煮込んだ本格派で、洋食レストランも顔負けの美味しさです。添えられたカブの浅漬けも口の中をサッパリとしてくれ、コースの最後にうれしい変化球でした。
ご飯ものは雑炊や丼などもあるので、予約の際に希望にも応じてくれます。

おまかせコースは5,500円・8,250円・11,000円の3種類で、他に「トラフグコース」（9,900円）、「アラコース」（13,200円〜）もあります。また、メニューには厳選した食材の持ち味を生かした「久岡家」ゆずりの多彩な一品料理がズラリと揃っているので、好きなものを食べながら軽く一杯といった使い方もできますよ。

客席はカウンターの他、ゆったり余裕を持って配置されたテーブル席、そして奥には個室も用意されています。
今後も九大箱崎キャンパス跡地の再開発によってさらなる発展が期待される注目エリアにある、注目の一軒です。