糸島れもんのコンセプトショップ「NOT SWEET」が櫛田神社の門前にオープン

2025年10月に櫛田神社の門前、博多町家ふるさと館の向かいにオープンしたカフェ「NOT SWEET」は、糸島市志摩稲留で栽培されている “こだわり農法・ノンワックス” のレモン「糸島れもん」のコンセプトショップです。

まず店内に一歩足を踏み入れると、その内装の美しさに目を奪われます。

木がふんだんに用いられ、壁や床のシックな質感や落ちついた明かりの配置が相まって、実に居心地の良い空間が広がっています。

江戸時代から昭和30年代にかけて、このあたりは「社家町（しゃけまち）」と呼ばれ、櫛田神社の神職たちが居住するエリアでした。

間口に対して奥行きのある敷地を活かし、かつての町家を想起させる意匠を取り入れているところに、店主のセンスと先人へのリスペクトを感じます。

まずは、ドリンクメニューの筆頭に置かれている「はちみつグリーンレモネード」をオーダー。

糸島れもんの特徴は、何といっても果汁の旨味と爽やかさ。舌を刺激する果汁の酸味や果皮の苦味が全くなく、これまで味わってきたレモンとは別次元のクリアな口あたりを感じることができます。

さらに「NOT SWEET」では、糸島れもんを使用したドリンクだけではなく、洋菓子・和菓子の名店とコラボした多彩なスイーツが味わえるのも魅力です。

まずは、「堂島ロール」を手がける「モンシェール」とのコラボによる「レモンロールケーキ」から。

ふわふわ食感のスポンジの濃厚な甘さに対して、糸島れもんの風味が効いたクリームが見事に調和。京都西陣の自家焙煎珈琲専門店「ガロ」のスペシャルブレンドを使った、深煎りのコーヒーとの相性も抜群です。

続いていただいたのは、城南区別府のチーズケーキ専門店「CHEESECAKE LEMON」とのコラボによる「CLASSIC LEMON チーズケーキ」。

濃厚でありながらもさっぱりした後味が特徴的。添えられた塩を合わせると、甘さや旨味が一層引き立ちます。

ペアリングのドリンクには中央区清川の日本茶専門店「茶舗ふりゅう」セレクトの八女産和紅茶をオーダー。渋みが抑えられた柔らかな風味がチーズケーキの味わいを引き立てます。

「NOT SWEET」には、レモンサワー各種、ビール、ワイン、ハイボール、日本酒、梅酒といったアルコールメニューも充実しており、お昼からオーダーすることも可能。次回訪れた際は、この「CLASSIC LEMON チーズケーキ」とワインをペアリングさせてみたいです。

そして3品目のスイーツは、春日市に本店を構える「お茶々万十本舗 富貴」とのコラボによる「特注レモン餡どらやき」。

どら焼きの皮と餡の濃厚な甘さをレモンバターの爽やかさが包み込み、小ぶりですが、実に食べ応えのある一品に仕上がっています。

和紅茶には糸島れもんのスライスが添えられており、最後はレモンティーでさっぱりと。

糸島れもんの栽培・販売を手がける「株式会社 糸島れもん」は2018年に誕生。いずれも薬院にある「炉端 氷炭」のオーナー・下登昌臣さんと「Bar 文月」の店主・阿南文平さんが、耕作放棄地の再生・活用策としてのレモン栽培を発案し、本業の傍ら同社を立ち上げました。

慣れない農作業や収穫後のレモンの管理、販路開拓など、レモン栽培の “甘くない（NOT SWEET）” 現状に直面しながらも、創意工夫を重ね、糸島の耕作放棄地に植えた1000本の苗木は順調に生育。現在の収穫量は年間5トンにまで達し、全国各地からの発注も増えてきているそうです。

熱意とこだわりが生んだ希望の果実「糸島れもん」。その神髄をぜひご自身の五感で体験してみてください。