もはや店主との1本勝負。ボリューム満点すぎる焼鳥コースにノックアウト寸前

公開日

ライター木下貴子

カメラマン木下貴子

鳥さんアイキャッチ

藤崎

鳥さん

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全国的にも焼鳥屋が多い福岡には、大衆焼鳥店から高級焼鳥店までたくさんお店があり、串も小ぶりで上品なスタイルから大ぶりでがっつりスタイルまでさまざまです。そして焼鳥のコースとなると、私は上品なイメージをもっていたのですが、それは思い込みにすぎなかったと痛感しました。今回ご紹介の「鳥さん」でのコース体験は、一夜にして私史上におけるがっつり焼鳥の1位に踊り出たのです。

鳥さん外観

2025年9月にオープンした「鳥さん」は、地下鉄藤崎駅4番出口から出てすぐにはなりますが、飲食店が並ぶ通りではなく横に入った筋にあり、やや隠れ家的な雰囲気のお店です。

鳥さん店主

もともとは地元・熊本でアパレルのお仕事をされていたという店主の三浦将大さん。「父が和食の料理人だったんで、ずっと飲食に憧れをもっていました」。26歳で急に「焼鳥屋をやりたい」と思い立ちその1週間後には福岡に引っ越して、まず大衆焼鳥で5年ほど働いたそうです。そこからもっと学びたいと大手門の「鳥次」の門を叩き、ここで5年ほど働いたのちに縁あって静岡で独立してお店を出しました。そして静岡でまた5年ほど経ったころにお子さんが生まれ、「両親に頻繁に会わせたい」と思い九州に戻ってきたと話します。

鳥さん内観

焼鳥は「おまかせコース」を基本にしていて、お客の食べ進み具合をしっかり見られるようカウンター席のみの造りにされています。

鳥さん品書き

コース「焼鳥おまかせコース」(4,900円)とハーフコース「焼鳥おまかせ5種」(3,000円)があり、この日はコースを注文しました。

鳥さん鶏ハム

1品目は「鶏ハム」です。低温調理で柔らかく仕上げたハムはしっとりした舌触り。添えてある広東料理からヒントを得たというショウガソースがいいお仕事をしてくれます。

鳥さん鶏スープ

2品目は「鶏スープ」です。鶏のあらゆる部位を使って6時間半かけて弱火で煮込む澄んだスープは、味付けは塩のみとシンプルなぶん鶏のコクを深く感じられます。

鳥さん店主

1、2品目を味わっている間に3品目となる串を焼き上げていく三浦さん。使用するのは土佐備長炭です。「香りがいいし、持続力もいいんです」。

鳥さんつくね

3品目からは焼ものです。最初に「つくね」が出るのは珍しい。「一般的なセオリーではつくねは後の方ですが、お腹が空いているときにメイン級を味わってもらうのが一番かなと思って」と三浦さん。そう、メイン級なんですよ。重さは75gあり、実際に見ると小ぶりのハンバーグほどのサイズです。

「鳥さん」では「朝引きのありたどり」「朝引きの若鶏」「姫っこ地鶏」の3種類をアイテムごとに使い分けているそうですが、このつくねは「ありたどり」「若鶏」「親鶏」「姫っこ地鶏」の4種の鶏モモがミックスされています。つなぎを使わずモモミンチだけで形成しているので、ぎゅぎゅっとしていて肉汁のしたたり具合もすごいこと。最初から強烈なパンチをかます「先頭打者」です。

鳥さんうずら

「2番打者」は「うずら」です。炙られた辛ダレの香ばしさに食欲が刺激されます。「半熟に仕上げました」と出された「うずら」を噛むと、黄身がトロ〜リと溢れ出ました。白身はしっかり火が通っているのに黄身がほぼ生という、その味わいと食感は驚きとおいしさに満ちています。

鳥さんせせり

「つくね」と「うずら」は焼もののレギュラーで、3串目からはその時々でネタが変わります。次にでてきたのは「せせり」でしたが、その大きさに絶句……。

鳥さんせせり

比較するとわかりやすいでしょうか、これくらいの大きさなんです。そしてお肉は10層ぐらい重ねられてあり、なかなかのヘビー級です。「たまに重さに負けて串が折れることがあるんですが、その時は『勝った!』って嬉しくなります」と言ってワハハと笑う三浦さん。いったい何と闘っていらっしゃるんですか?

せせりの身はぶりんぶりんしていてとってもおいしいのですが、しかし大きい。感覚的には通常の串の3本ぐらいありそうです。まだ序盤ですが、私の胃袋大丈夫でしょうか。

鳥さんしいたけ

と、やや不安になっていたところに「しいたけ」が登場して小休止(でも大分のシイタケで大きい)。出汁じょうゆ、カツオ節、シイタケ本体のトリプルのうまみです。

鳥さんレバパテ

続いて「レバーパテ」の登場です。生クリームとバターの風味も感じられるパテは、フンワリもしていて軽やか。思わずおかわりしたくなるおいしさでしたが、油断大敵です。お次、お願いします。

鳥さん水炊き

ここで「水炊き」がきました! 弱火でじっくりと炊くため具材に出汁がよく染み込んでいます。鶏もぷりぷりで文句なしですが、私はキャベツの甘みとうまみに驚きました。

鳥さんモモ

そして、本日2度目の絶句……。チキンステーキのような「モモ」にもう笑っちゃいます。とはいえ香ばしいにおいとその色艶にまた脳と胃袋が奮い立ち、がぶりと勢いよくいただきます。ぷるぷるで弾力と歯応えがあって味わい深く、やっぱりモモ肉おいしいな〜。

鳥さん大根おろし

ここで「お口直しにどうぞ」と大根おろしを出してくれました。口の中がさっぱりになって、「なんか胃もリセットされてまだいける気がします」と言うと、「そう思うでしょ?」と三浦さん。「でもね、勘違いですから」。え、そんな冗談やめてくださいません?(笑)

鳥さん砂ズリ

「本当はもう一つ肉々しいのをお出しする予定でしたが……」と、やや苦しくなってきている私の表情を見て変更して出してくれたのは「砂ズリ」でした。ありがたい。丁寧に下処理され上品に焼き上げられた砂ズリを、ゆっくりペースでいただきました。

鳥さん手羽先

ついにラストです。最後を飾るのはレギュラーの「手羽先」でした。コースでは鶏のあらゆる部位が味わえ、最初から最後までいろいろな味わいや食感のバリエーションを楽しめるのがやっぱりいいですよね。

終盤は私もなんだか「負けへんで!」と何かと闘う気持ちになりつつも、おいしいまま完食できました。最初に三浦さんが「時代には逆行していますが、僕的には昔ながらの焼鳥もモットーにしており食べ応えを一番大切にしています」と言っていましたが、おかげさまで腹十二分いやそれ以上です。隣のお客さんが「今日は高砂から歩いてきました」と言われて驚きましたが、私も天神から歩いてくるべきだったかも。さて次回は、追加で「そぼろ丼ミニ」(500円)も食べたいので「おまかせ5種」にしようかな……いや、やっぱり天神から歩くことにして再びコースに挑みます。

店舗名

鳥さん(店舗写真

ジャンル

  • 焼鳥

住所

福岡市早良区高取2-17-8朝日プラザ高取1F

電話番号

092-600-9703

営業時間

17:30〜23:00

定休日

日曜

席数

  • カウンター9席

個室

なし

メニュー

焼鳥おまかせコース4,900円、焼鳥おまかせ5種 全8品 3,000円、お揚げ400円、レバーパテ400円、トマト350円、そぼろ丼ミニ500円

喫煙について

禁煙
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。

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