福岡で「魚介を食べに行こう」というとき、ほとんどが和食ではありませんか? でも魚介好きならばどんなジャンルでも、いえ、むしろいろいろなジャンルで魚介を味わいたいはず。今回ご紹介する「カーボン」は、そんな欲望を満たしてくれるレストランです。
お店があるのは薬院伊福町。もともと2013年に白金でオープンし、2020年に現在の場所に移転しました。店内は広々とした空間で、カウンター席とゆったり配置されたテーブル席があります。
お店を営むのは原田靖男シェフと亜弥さんご夫妻です。原田シェフは料理人としてオイスターバーや和食、イタリアンなどいくつかの業態で経験を積み、独立。「当初はイタリアンをベースにしていて、刺身の代わりに楽しめるものとして生牡蠣をメニューに加えたんです」と話します。最初は3〜4種類でしたが年数を重ね生産者との繋がりが増え、今では日替わりで10種類を出しています。また、生産者との繋がりは牡蠣にとどまらず、魚介、さらには野菜にまで広がったといいます。「素敵な生産者さんたちが生み出す食材はやはりそれ自体が素晴らしい。ですから食材そのもののおいしさが味わえる炭火焼で提供するようになりました」と原田シェフ。
まずはスターターとして生牡蠣を楽しみます。全国の10産地10種類から選べますが、食べ比べセット10ピース(時価、この日は8,118円)、あるいはそれ以上を1人で平らげる猛者も少なくないそうです。私も牡蠣は好物で一瞬、「セットにするか?」と迷いましたが、ほかの料理も食べたいし冷静になってシェフに5つセレクトしてもらいました。
生牡蠣は、シェフの故郷・日田の小鹿田焼の器でクラッシュアイスに盛って供されます。牡蠣も艶やかで美しく、この時点で生唾ものです。
セレクトしてくれたのは「兵庫県室津産“タカキ”」(880円)、「広島県福山内海産“惑香”」(825円)、「徳島県和田産“和田島 岬オイスター”」(880円)、「佐賀県太良有明産“和海 NAGOMI”」(880円)の4種の三倍体真牡蠣と、「熊本県有明産“岩牡蠣 天恵”」(990円)。レモンとオニオンソースが添えられていますが、個々の違いをしっかり感じたいのでそのままいただきました。
それぞれ複雑な味、食感の違いがありますが簡潔にいうなら、「タカキ」は磯の苦味が甘味へと移行するおもしろみ、「惑香」は舌に馴染むソフトでぬめりのある食感、「岬オイスター」はふんわりしてて豊かな甘味、「和味」は非常にバランスのある甘味と旨味の一体感、「天恵」は岩ガキ特有のコリコリ食感が特徴的という感じです。牡蠣は水質、環境、生産者でまったく違うように育つと聞きましたが、本当にそれぞれ個性があって面白く、そしてもちろんおいしい!
生牡蠣を満喫したら、次は炭火焼です。注文をお願いすると、なんと席までワゴンが運ばれてきました。
ワゴンには、本日の魚介と野菜がもりもりに乗っています。見るからにおいしそうだし、魚介も野菜も大ぶりで迫力満点。魚は唐津の大山鮮魚店と五島の林鮮魚店から、野菜は福津のシルビオさんと島原や糸島の伝統野菜を取り扱う金子商店から仕入れているそうです。
看板では魚介炭火焼と謳っていますが、野菜の炭火焼(各990円)も評判よく、まずはそちらから。青ナス、ズッキーニなどの夏野菜の中から「万願寺とうがらし」を選びました。炭火焼はスペイン製のグリルオーブン「ジョスパー」で密封状態にして焼き上げます。
焼き上がったとうがらしは鮮やかなグリーン、そしていい感じに焦げ目がついています。味付けは塩とオリーブオイルでシンプルに。ガブリと噛みつくと、加熱で凝縮された旨味を含んだ野菜の水分が口中にほとばしります。甘味があってうまい! それでいてシャキシャキの歯応えも残っているから驚きです。「密閉性が高いので短時間で火が入るし、素材の水分も逃しにくいんです」とシェフ。
そして魚介は、おすすめの「唐津産 クエ」(5,280円)を選びました。クエは冬が旬と思っていましたが、裏旬で夏場もとってもおいしいそうです。
一切れがとても大きく分厚いのですが、「ジョスパー」の性能とシェフの腕によって半レアに近い絶妙な状態で焼き上がっています。身はしっとり柔らかく、これまた旨味を逃すことなく焼かれているので淡白な中に深い味わいを感じます。パリっと焼かれた皮目も最高です。
そして、最後にパスタを注文。「牡蠣とカラスミのオイルパスタ」(2,970円)と迷いましたが、これまでオイル系だったので味変を優先し「魚介ミンチのトマトソースパスタ」(2,310円)にしました。ミンチは炭火焼用の魚から出たアラを混ぜて作ってあり、これ自体が出汁の塊のようなもので、とにかく風味豊かで絶品! 「カーボン」では、このミンチトマトソースをはじめ、牡蠣の炭火焼きなども缶詰にして販売しているのでそちらも要チェックです。
今回いただいた生牡蠣、炭火焼、パスタのほかにも、前菜、おつまみ、肉料理、デザートもありました。ただ、生牡蠣と炭火焼でほぼお腹いっぱいになるので注文は計画的に。私は「次回は生牡蠣、前菜、炭火焼かなぁ?」と早くも予定を立てました。
店舗からの提供
「カーボン」ではワインが充実していることも特記したいことの一つです。グラスワインは日替わりで15種類ほど、また店内には約1,500本を収納するウォークインセラーがあります。また、シェフも亜弥さんもワインについての知識が豊富で料理に合わせて選んでもらうのもおすすめです。ちなみに私は、生牡蠣にスプマンテ、炭火焼にソアヴェ、パスタにロゼをすすめてもらって味わいました。
ぜひみなさんも、この夏、魚介とワインの夕べを楽しんでみてください。
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店舗名
生牡蠣と魚介炭火焼 Carbon(カーボン)(店舗写真)
ジャンル
- ダイニングバー
- ワインダイニング・ワインバー
住所
福岡市中央区薬院伊福町11-1 kazビル1F
電話番号
092-534-7188予約制(TableCheckは前日15:00まで。当日予約は来店前に電話連絡を)
営業時間
17:00〜OS23:00
定休日
木曜、他不定休あり
席数
- カウンター7席
- テーブル14席
個室
なし
メニュー
生牡蠣1個605円〜(時価)、生牡蠣10種類食べ比べ 10ピースセット8,118円〜(時価)、生牡蠣付きおまかせコース9,350円〜、生しらす シチリア産オリーブオイルマリネ2,530円、牡蠣フライ2個1,320円、野菜炭火焼き990円、魚介炭火焼き時価、くまもとあか牛の炭火焼き5,390円、魚介ミンチのトマトソースパスタ2,310円
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
記事に関する諸注意
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