上野万太郎の「この人がいるからここに行く」【第4回】

天神で異彩を放つ多国籍料理屋台の挑戦【3/3】

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最終更新日

ライター上野万太郎

カメラマン上野万太郎

Telas&mico屋台

天神

Telas&mico(テラスとミコー)

上野万太郎

ここ10年間、カレー店と珈琲店やカフェを中心に年間外食はのべ1,100軒以上。本業の傍ら、外食写真日記的なブログ「万太郎.net」で福岡を中心とした飲食店の人々やお客さんと関わったエピソードを発信。著書は「福岡カフェ散歩」(書肆侃侃房/2012年)、「福岡のまいにちカレー」(書肆侃侃房/2014年)。
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「Telas&mico屋台」誕生

5年を過ぎたあたりからまた新しいことを考えていた。料理を手伝っている小池さんもしっかりしてきたので2店舗目を検討し始めていたちょうどその頃、福岡市の屋台出店公募が始まった。いざ説明会に行ってみると福岡市内で有名な飲食店グループが何社も来ていた。これは厳しいなと思ったが、後日、法人化しているお店は参加できないということが発表され、「これはいけるかもしれない」と判断。本気で応募してみることに。結局、240件ほどの応募の中から「Telas&mico」を含め28店が合格。「Telas&mico屋台」の誕生である。

屋台営業には様々は条件があり、店主である久保田さんが常に店頭に立たなければならない。つまり春吉の「Telas&mico」は小池さんが店長として切り盛りすることになる。そしてメニュー的にも生ものは出せないなど保健所の制限があり、店舗で出していたものは出せないものが多い。そこで肉系グリルを中心とした多国籍料理屋台というテーマにした。
屋台本体にもこだわった。デザインはフランス人デザイナーのダビさんによるもので、文頭にも書いたがペパーミントグリーンに赤のアクセントが入った派手なデザイン。誰もが「え? これ、屋台??」と思うほどある意味屋台の常識を破ったデザイン。金属の骨組みを多用しコスト的にも一般の木造屋台の2倍程度になったが、その分頑丈なものになった。

2017年4月に交付された営業許可だったが、屋台の製造に時間がかかり実際に開店したのは8月だった。営業開始が遅れたので売上げロスも考えればどれだけ屋台作りにコストをかけてるんだと思われるだろう。しかし、それだけ久保田さんの屋台に求めるレベルが高かったということだ。 「一見の観光客はもちろん、特に若い女性でも入り易いお店にしたかったんです。だから綺麗でカワイイ屋台を目指しました」と久保田さん。まさにその狙いは的中。若い層を中心に地元客のみならず、観光客で連日にぎわった。特に英会話に対応できる店主がいる店として外国人観光客にも人気が出た。さらには多くのメディアにも取り上げられてその人気は全国区となり知る人ぞ知る夜の観光スポットにもなっていた。

去年から1年くらいはCOVID-19のために営業できずに大変な苦労があったが、この秋からは営業再開。その間にまたまた屋台本体を改造リフレッシュし、さらにパワーアップした姿で営業している。まだまだ夜の営業が従来通りに戻るには時間がかかるかもしれないが、福岡の屋台として屋台組合の仲間とも協力して頑張っていく覚悟である。

Telas&mico屋台
Telas&mico屋台

左:ブルスケッタ3種盛り/右:糸島豚の手作りソーセージグリル

Telas&mico屋台
Telas&mico屋台

左:雷山豚の朴葉焼き/右:スパイシー汁なしまぜ麺

父親とイギリスへの恩返し

父親が昔お店で出していた担々麺。そして父親の影響で住むことになった海外。いろいろなことで久保田さんの源流には父親がいた。
「Telas&mico」は周年イベントで毎年やってきたことがある。それは特製担々麺の提供である。採算無視の原材料と通常以上に手間暇をかけた赤字覚悟の担々麺。それは彼の中で父親から受け継いだことを再確認し初心にかえる作業にもなっているようだ。今年の夏にその父親は長年の病気療養の末亡くなった。結局「Telas&mico屋台」に足を運ぶことはできなかったという。それでもあの人生どん底だった黒歴史から不死鳥のように舞い上がり、注目の店として看板を掲げることが出来た息子をみることが出来て安心しておられたことだろう。

そして、久保田さんは次の夢を語り始めた。「父親への感謝の気持ちと共に、やっぱり僕はイギリスに助けられたという気持ちが強いんです。だからイギリスで学んだことを福岡で広げることで少しでも恩返しになればと思っています。具体的には、ヨーロピアンスタイルの立ち食い寿司店を開きたいんです。格式張らないでカジュアルに食べられるモダンジャパニーズの寿司店。それでいて寿司好きな日本人をも唸らせるような寿司を握りたいんです」

久保田さんがイギリスで学んだモダンジャパニーズ。そして父親から受け継いだ担々麺。それらも含めて久保田さんがまとめあげた多国籍料理。春吉店と屋台で作り上げてきたまさに“クボタワールド”を、これからもさらに福岡の食文化の中で輝き続かせることだろう。それが、父親やイギリスへの恩返しになると信じて頑張る久保田さん。僕も彼のファンとしてこれからも応援していきたいし、きっと恩返しを実現出来ると信じている。

Telas&mico屋台

店舗名

Telas&mico屋台(テラスとミコー屋台)

ジャンル

  • 屋台

住所

〒810-0004 福岡県福岡市中央区渡辺通4丁目9 天神南(バス停横)

電話番号

092-731-4917

営業時間

19:00~24:00

定休日

日曜、月曜(雨天時は休み)

席数

  • カウンター9席
  • スタンディング3名くらい

メニュー

国産ワイン550円、ホットワイン650円、日本酒700円、焼酎550円、コーヒー500円、スパイシー汁なしまぜ麺880円、糸島豚の手作りソーセージグリル1,000円、雷山豚の朴葉焼き1,400円、鉄串三種セット900円など

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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