北九州市のほぼ中央にある皿倉山は、日本書記の神功皇后伝説に由来するといわれる歴史を持つ。市内の多くの場所から望むことができ、まさに北九州のシンボルとしてそびえ立っている。皿倉山を頂天とする山々は帆柱連山と呼ばれ、その西麓の山道の途中にある古民家を改装した和食料理店が「旬季 琳太郎」だ。


堂々とした造りの純和風建築は宮大工の手によるもので、随所に匠の技による伝統的な意匠や装飾が見てとれる。書院造りの特徴である違い棚や精緻な彫刻が施された鴨居など、建築好きにとっては見どころがいっぱい。そんな古民家を改装した二間続きの客室で、和食をベースにした創作料理を提供してるのが店主の茅原康充さんだ。


茅原さんは学校を出て堅実な企業に勤めていたが、24歳の時に脱サラして「知り合いの伝手をたどって京都の割烹に弟子入りました」と、料理の世界に飛び込んだ。地元に戻り、老舗料亭をルーツとする「千草ホテル」でさらに腕を磨き、約20年前に八幡西区相生町で独立開業。丁寧な仕事で着実に常連客を増やし、8年前に現在の店舗に移転した。

現在は昼のみの営業で、提供する料理は店名のとおり旬の食材を使った創作和食。驚くべきはそのコスパの高さで、3種類あるランチは、前菜4種盛り・蒸し物・魚料理・ご飯・味噌汁・漬物・コーヒー・デザートが付いた「楓」(2,100円)が基本の献立。今回は、それにお造り、肉料理が追加された「山茶花」(3,500円)を注文した。写真は前菜4種盛りで、蕎麦ずし、鴨ロース、海老にミョウガやオクラなど、旬の食材を使った逸品が彩りよく盛られている。


この日のお造りは、新鮮なタイ、ヒラス、本マグロの3品。椀物はもっちりと蒸し上げられた馬鈴薯饅頭で、生姜の香りが漂う餡がさらに食欲をそそる。彩りを添えるあられは食感もよく、さりげなく京風のエッセンスが感じられる、

訪れたのはちょうど立秋の頃で、次の一皿には大根と一緒に蒸された秋鮭が登場した。つけ合わせの無花果といい、旬の食材が季節の移り変わりを知らせてくれる。ふと窓の外に目をやれば、まだ木々の緑が目に眩しい。料理とともに自然の風景から四季折々の風情を感じられるのは、街中のレストランでは得がたい体験である。

メインの牛ステーキの後は、ご飯ものとコーヒー・デザートでフィニッシュ。自然に恵まれた景観、店内の設えまで含めて、ここまで満足感の高いランチはなかなか味わうことができない。
完全予約制ではないが、連日ほぼ満席になる人気店なので予約は必須。駐車場は約10台分用意されているが満車になることもあるので、なるべく同乗して訪問したい。福岡市内から車で1時間弱の距離にあり、ドライブがてらランチを楽しむのにもぴったりだ。
類似の記事
店舗名
旬季 琳太郎(店舗写真)
ジャンル
- 日本料理
住所
北九州市八幡西区市瀬3-17-15
電話番号
営業時間
11:30〜14:00(要予約)
定休日
土日祝日
席数
- カウンター4席
- テーブル28席
個室
なし
メニュー
ランチ2100円・2759円・3500円、コース5200円〜(※2日前までに要予約)
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
記事に関する諸注意
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
人気記事ランキング
- 24時間
- 1週間
- 1ヶ月