福岡の食を支える中村学園卒業生のお店【8】
六本松でほっと一息。おいしいトースト喫茶と自家焙煎コーヒー専門店へ
今回ご紹介のお店
on the Toast(六本松)
Saredo Coffee(六本松)
福岡の食を支える「中村学園」の卒業生
2024年に創立70周年を迎えた、“食の中村”こと「学校法人中村学園」。1954(昭和29)年に「福岡高等栄養学校」を開校したのがそのはじまりで、多くの料理人や食産業に携わる人材を輩出していることで有名です。
UMAGAでは70周年を記念し、卒業生が営む店、活躍する店をご紹介しています。連載の第8回目は、ほっと一息つきたい時におすすめな六本松エリアの2軒を訪ねました。
ランチ、カフェ、お酒も飲める!
トースト喫茶「on the Toast」
秋のお散歩日和には、個性豊かで魅力的なお店が立ち並ぶ六本松へお出かけしませんか? 最初に訪れたのは、護国神社の西側エリア。「NHK福岡放送局」の裏手にあたる通り沿いに、“オントス”こと「on the Toast」はあります。
お店を営むのは「中村学園女子中学・高等学校」の卒業生である石鞍風花さんと母の智子さん。この場所には元々バーと駄菓子屋があったそうで、当時のままを活かした外観や店内の食器棚など、レトロな雰囲気が何とも素敵です。席に限りがあるため、3名以上で利用の場合は、事前に電話をしてお出かけくださいね。
石鞍さんは小学3年生の頃からバトントワリングに打ち込んでいて、「この学校にはバトン部があるよ」という母・智子さんからの勧めもあり、中学から「中村学園」へ進学することに。
「クラスメイトはもちろん、先生にも恵まれ、バトン部顧問の竹内先生には特にお世話になりました。中・高校時代の友達や後輩、先生方もお店にもよく来てくださり、今でも仲が良いんですよ。先生方の指導は厳しくとも愛があって、学生時代には厳格だと感じていたマナー指導も、社会に出るとそのありがたみに気付きます」と笑顔で話します。
高校を卒業後は京都の大学へ進学し、その後コンビニエンスストア最大手の「株式会社セブン-イレブン・ジャパン」へ入社。副店長、店長として3年間現場で経験を積んだ後は、経営カウンセラーとして7店舗を受け持ち、2年間に渡り人材育成や経営指導に携わってきました。しかし、仕事を続けるなかで、ある気持ちが芽生えてきたと言います。
「経営カウンセラーの仕事はオーナー様とのやりとりが主体です。だけど私は、現場でお客様と直接顔を合わせるのが好き。接客の仕事をやりたいと気付いたんです。“そろそろ会社を辞めて、新しいステージへ”という転機を迎えていた母のタイミングとも重なり、2人でお店を開こうと決意しました。実家にご飯を食べに帰ってくるような、気兼ねなく通えるようなコミュニティの場を作りたかったんです」。
そうして、2人がお店の看板メニューに選んだものが“トースト”でした。石鞍さんは大学時代から料理教室に通っていて、そこで初めて食パンを作った時の感動が鮮明に心に残っていたと言います。社会人になってからは母の智子さんと一緒に通い、2人とも料理指導を行えるライセンスまで取得。「この経験を活かし、食パンを軸とした温かい手作りの味を提供したい。おいしいを超えた幸せを届けたい」と考えたそうです。スイーツや接客は石鞍さん、メイン料理は母の智子さんの担当です。早速、おすすめのメニューをご紹介しましょう。
まずは、“オントス”で外せないトーストメニューをいただきました。単品トーストは全4種類(770円)あり、自慢のコーヒーなどを楽しめるドリンクセット(1,200円)も用意されています。こちらは定番人気の「メープルポテト」で、手作りのスイートポテトに自家製のアイスクリームとメープルシロップがとろける逸品です。
粉の配合や発酵時間など、試行錯誤の末に完成したというオリジナルの山型食パンは「お米の代わりにもなる、何にでも合う味」をテーマにしているそう。分厚くカットされたトーストは香ばしくサクッと軽めの歯触りで、中心はふんわりもっちり。ほんのりとした甘味と口溶けの良さもたまりません。
続いては、11時30分から16時まで提供されている人気のランチセットもチェック。「サンドイッチセット」「ワンプレートセット」「まみれのっけセット」「サラダセット」「金曜限定 ご飯セット」の5種類が揃い、内容は日替わりなので、ほぼ毎日選べる楽しみがあります。
写真の「サンドイッチセット」(ドリンク付き1,400円)のサンドは3種類から選べ、この日は「クラブハウスサンド」をいただきました。しっとり柔らかな自家製の鶏ハムとジューシーなトマト、カリッと焼いたベーコンにシャキシャキのレタス、特製のソースもよく合い、これは絶品です! サンドはトーストした薄切り食パンを3枚使っているのもポイントで、ボリュームも満点。サツマイモのサラダにキャロットラペ、紫キャベツのマリネ、キャベツとベーコンのコンソメスープ……と、日替わりのサラダやスープも丁寧に作られていて、優しいおいしさがじんわりと広がります。
さらに、石鞍さん親子はお酒好きだそうで、メニューにはデリ3種と選べるアルコールがセットになった「母の気まぐれデリプレート」(1,400円)やお酒にあう「小つまみ」(各種440円)も用意。金・土曜の夜ごはん営業(予約制)や水曜のモーニング営業も見逃せません。
加えて、食パンや惣菜パンといったテイクアウト用の日替わりパンも販売。週末には、石鞍さん手作りのケーキや焼き菓子なども登場しますよ。ラインナップは日々インスタグラムで紹介されているので、ぜひチェックしてみてください。
日常に、街に“とけ込む”
自家焙煎コーヒー店「Saredo Coffee」
続いてやって来たのは、護国神社の南側エリア。六本松を横切る国道202号沿いに店を構える「Saredo Coffee」を訪ねました。ここは「中村学園三陽高等学校」出身の店主・権藤恒一さんが営む自家焙煎コーヒー専門店。半熱風式の焙煎機を備える店内には香ばしい焙煎の香りが漂い、豆の販売とカフェ営業を行っています。
「地元は福岡ドームの近くなのですが、3年間学校まで自転車で通い、高校の校門から続く“三陽坂”を駆け上っていたおかげで、足腰は部活生に負けないくらい鍛えられたと思います」と柔和な笑顔で話す権藤さん。大学を卒業した後は不動産会社に就職したそうですが、分譲マンションの営業職が合わず、悩んでいた時に出合ったのが「スターバックスコーヒー」でした。
「働いている人たちが、本当に楽しそうだったんです。スタッフはお客様の前でも“お疲れ!”と声を掛け合いシフトチェンジしていく、いい意味でのラフさにも憧れました。いきなり社員ではなく、自分のペースで仕事を身につけながら一歩ずつ進んでいきたいという思いもあり、アルバイトから『スターバックス』に入社しました。これを言うと驚かれるのですが、入社前はコーヒーが苦手だったんです(笑)。だけど、知れば知るほどおいしさや奥深さに引き込まれ、気付けば10年が経っていました」。
通常、“スタバ”のエプロンは緑色ですが、権藤さんは独自に策定された社内試験の合格者のみに与えられる「ブラックエプロン」の保持者。「スターバックスコーヒー」では、そんな“ブラックエプロン”のバリスタのみが出場できる、「アンバサダーカップ」という社内競技大会が年に1度(現在は2年に1度)開催されており、権藤さんは当時の愛知エリアで2位を獲得した実力の持ち主です。
「そうして仕事を続けていると、人材育成や指導、営業戦略に関わる仕事を任されるようになるのですが、やっぱり好きなのは現場。それに、ある時お客様に言われた『苦くないコーヒーをちょうだい』という言葉がずっと心に引っかかっていました。“この中だったら苦味が少ないのは”という勧め方は何だか違う気がしていて……。自分で豆を選び、焙煎すれば、本当に苦くないコーヒーを出せるのではないかと考え、『自家焙煎コーヒー店』としての独立を選びました」。そして権藤さんは、2013年6月に「Saredo Coffee」を開業。店内にはこだわりの自家焙煎コーヒー豆がズラリと並んでいます。
「Saredo Coffee」が扱うのは世界各地の産地や農園から届くスペシャルティコーヒーで、生豆は信頼のおけるコーヒー商社「マツモトコーヒー」から仕入れているそう。低温に保たれたリーファーコンテナにて運ばれるもののみを厳選しているのでどれも高品質で、こまめに焙煎することで新鮮なおいしさを届けています。
シングルオリジン(単一品種・産地)は約6種類、ブレンドは4種類を揃え、この日は「グアテマラ ラ タシータ農園 中深煎り」(600円)をいただきました。今の時期の豆は「ニュークロップ」※で、グアテマラ特有の花のような香りが一層豊かに広がります。滑らかな口当たりと、カカオのような旨味、余韻もたまりません。
※ニュークロップ=収穫したてで輸入される「当年度のコーヒー」のこと。お米に例えると“新米”のようなもの
さらに、メニューにはカフェラテやアレンジコーヒー、カフェインレスのコーヒーも揃い、イートイン限定の「コーヒーパフェ」(850円、コーヒー付きは+450円)にも注目です。ほろ苦く滑らかなコーヒーゼリーと、大牟田市「オーム乳業」のクリームで手作りするバニラアイスやホイップクリームは相性抜群。シャリシャリのコーヒーグラニータと自家製のフロランタンも良いアクセントになり、スプーンが止まらないおいしさです。
また、コーヒーのお供には自家製の焼き菓子(1個220円〜)もおすすめ。11月頃までは、渋皮煮が丸ごと1個入った「栗のタルト」(1個480円)も登場するので、こちらもお見逃しなく!
なお「Saredo Coffee」は移転が決まっており、現在の場所での営業は12月末頃まで。来年2月からは新店舗(草香江1-8-13)での営業をスタートする予定で、新たな展開にワクワクが止まりません。「これまでは“寄り添う”がテーマでしたが、今ではもう一段階進んだ『日常にとけ込むコーヒー』を大切にしています」と権藤さん。
――たかがコーヒー、されどコーヒー。思いがけない幸せや安らぎを与えてくれる一杯を求めて、ぜひ出かけてみてください。
この記事は「学校法人中村学園」の提供でお届けしました。
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店舗名
on the Toast(オン ザ トースト)(店舗写真)
ジャンル
- パン
- カフェ
- サンドイッチ
住所
福岡市中央区六本松1-4-39
電話番号
092-400-8013 ※金・土曜のディナータイムは要予約
営業時間
11:30〜OS16:00(水曜は8:30〜OS10:00、金・土曜は18:00〜OS20:00も営業)
定休日
月、火曜
席数
- カウンター5席
- テーブル6席
個室
なし
メニュー
ランチセット1,400円〜、トースト各種770円(ドリンクセット1,200円)、11:00〜16:00「母の気まぐれプレート」(デリ3種と選べるアルコールのセット)1,400円、テイクアウトパン250円前後〜、水曜モーニングメニュー500円
喫煙について
店舗名
Saredo Coffee(サレド コーヒー)(店舗写真)
ジャンル
- カフェ
- コーヒー
住所
福岡市中央区六本松3-11-33 エステートビル1F
電話番号
営業時間
11:00〜18:00(物販は〜20:00、土・日祝日〜18:00)
定休日
火・水曜
席数
- カウンター4席
- テーブル8席
- テラス4席
個室
なし
メニュー
ハンドドリップコーヒー、デカフェコーヒー(中深煎り・深煎り)各600円、カフェラテ630円、キッズドリンク350円、お菓子とコーヒーのセット800円〜、コーヒーパフェ850円・コーヒー付きは+450円、自家焙煎コーヒー豆100g・650円〜
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
記事に関する諸注意
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- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
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