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おいしいものを求めて国内外を飛び回っているフードライターの江藤詩文さんが急遽来福。スターシェフが大集合するディナーイベント「合餐 2021 Gohsan 7chefs in Fukuoka」に参加するためです。それを耳にした「UMAGA」編集部はさっそく体験レポートの執筆をお願いしました。シェフたちとも親交の深い彼女による渾身のレポートをご覧ください。
福岡の、日本の、いえアジア中のフーディーズが注目した一夜限りのガストロノミーイベント「合餐2021 Gohsan 7chefs in Fukuoka」。2021年「アジアのベストレストラン50」30位、「ミシュランガイド福岡2019年」で一つ星の「La Maison de la Nature Goh(ラ・メゾン・ドゥ・ラ・ナチュール・ゴウ)」福山剛さんを中心に、2021年「アジアのベストレストラン50」3位、2021年「世界のベストレストラン」11位、「ミシュランガイド東京2021」二つ星の「傳」長谷川在祐さん、2021年「アジアのベストレストラン50」7位、2021年「世界のベストレストラン」39位、「ミシュランガイド東京2021」二つ星の「Floriege(フロリレージュ)」川手寛康さん、2021年「アジアのベストレストラン50」27位、「ミシュランガイド東京2021」一つ星の「Ode(オード)」生井祐介さん、「傳」と「Floriege」がコラボしたレストランとして話題を集める「デンクシフロリ」料理長の清水将さん、2021年「アジアのベストレストラン50」8位、2021年「世界のベストレストラン50」76位、「ミシュランガイド京都・大阪+和歌山2021」二つ星の「La Cime(ラシーム)」高田裕介さん、2021年「アジアのベストレストラン50」64位、「ミシュランガイド京都・大阪+和歌山2021」二つ星及び「グリーンスター」の「villa aida(ヴィラ・アイーダ)」小林寛司さんと、目をみはる顔ぶれが福岡に集まりました。
当然ながら予約は瞬く間に満席に。定員(90席)よりキャンセル待ちが多かったというプラチナシートで味わった、8皿のコース料理を全品ご報告します。
ドン・ペリニヨンでの乾杯から始まった晩餐会のトップに登場したのは、高田さん(La Cime)による「魚介 へべす 島唐辛子 ココナッツ さつまいも」。五島のイシガキダイのセビーチェです。セビーチェに使うマリネ液は「“タイガース”ミルク」、添えられたのは黄色に黒い縞模様のクラッカー(魚の出汁入り)、「La Cime」の本拠地は大阪といえば、何をイメージしたかもうおわかりですよね。「タイガースミルク」の主材料は、宮崎県産の柑橘「へべす」。この甘酸っぱさをを中心に、シークワーサー、かぼす、ゆず、ライム、レモンと異なる6種類もの酸味を組み合わせて味を決めました。高田さんは、絶対音感ならぬ絶対「味」感の持ち主だと私は思っていて、普通なら何度も試作して調整するであろう複雑で立体的な酸味を、直感的にあっという間に創り上げたのではないかと。高田さんらしいエッジの立ったキレッキレの味覚は、華やかな宴の幕開けにふさわしいものでした。
2皿目の前菜は、川手さん(Floriege)と長谷川さん(傳)がコラボした「トマト チーズ 牛 スグキ」。「Floriege」のリピーターならピンと来るビジュアルかもしれません。そう、このイベントの見どころの一つは、大好きなレストランのあの料理が、新しいかたちになって登場することなんです。
かねてより一般的には価値が低かった経産牛に光を当て、この皿でも、通常なら廃棄するチーズの皮まであますところなく使い切るなど、ガストロノミーにおけるサステナビリティに取り組んできた川手さんらしい一皿。これに「発酵」を共通テーマとして長谷川さんがすぐきを加え、2人で新しい味を完成させました。仕上がりは「Floriege」8割、「傳」2割といった感じでしょうか。
3皿目は、福山さん(La Maison de la Nature Goh)の「黒大豆 肝 黒無花果」。とにかく地元で愛され、九州中の料理人から慕われ、自身も九州への愛情が深い福山さんがメイン食材に選んだのが、出身地である福岡県朝倉郡の高品質な黒大豆「筑前クロダマル」。これを黒大豆らしいやわらかな甘みを引き立てる、ほんのり塩味を効かせたケークサレに仕立てて、スパイスの効いた黒イチジクのチャツネとフォアグラを重ね、エスプレッソの香るチュイルでサンドしました。フォアグラの特性を知り尽くし、その料理には定評のある福山さん。黒大豆を主役に、フォアグラを寄り添わせるアレンジからも福山さんの持ち味が伝わってきて嬉しくなる一皿。3皿目という難しいポジションを引き受けたのも、おおらかで懐の深い福山さんらしい人柄が現れています。
4皿目の野菜料理は、小林さん(villa aida)の「かぼちゃ みりん粕漬 ほうずき 柑橘ピール 卵黄」。丸ごとローストした栗かぼちゃの実をガーゼで包み、レモンチェッロとみりんに漬けてゆっくりと味をなじませました。ソースはみりんをベースに、隠し味として卵黄をほんの少し。小林さんは、重い脂や魚卵特有の臭いが苦手だったり、強い炭酸や過剰な辛味を飲み込めなかったり、とにかく舌が繊細で、私が想像するに多分スーパーテイスター(超味覚の持ち主)。ローストの焦げ感はなく、栗かぼちゃの持つ自然な甘みがそのままソースへとつながる優しく甘やかなグラデーションは、幻想的で夢々しく、小林さんでなければ生み出せない味わいでした。
5皿目の魚料理「ノドグロ 菊 ターメリック」を手がけたのは生井さん(Ode)。旬の魚と野菜をデニッシュ生地で巻き込んでさっくりと焼き上げ、ソースと共に味わうこの料理が、私は大好き。「Ode」といえば有名な「ドラ○ンボール」や「Gray」がスペシャリテですが(わからない人はgoogleをチェック!)、このフィッシュデニッシュも間違いなくスペシャリテの一つ。初めて食べたときには、衝撃を受けました。
今回の魚は、適度に脂がのっていて加熱してもパサつきにくく、生地の中でふっくらと仕上がるノドグロをチョイスしました。90名のゲスト全員に焼き立て熱々を提供するために、7人のシェフが勢揃いしてサポート。厨房は慌ただしく大変そうでしたが、見守るこちらとしては、そんな光景も微笑ましくほっこり和みました。
【後編】に続く
[江藤詩文プロフィール]
世界を旅するフードライター。ガストロノミーツーリズムをテーマに、世界各地を取材して各種メディアで執筆。著名なシェフをはじめ、各国でのインタビュー多数。訪れた国は60カ国以上。著書に電子書籍「ほろ酔い鉄子の世界鉄道~乗っ旅、食べ旅~」(小学館)シリーズ3巻。Instagram(@travel_foodie_tokyo)でもおいしいモノ情報を発信中。
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