明治の中頃まで一寒村に過ぎなかった八幡村(現北九州市八幡東区)で、官営八幡製鐵所が操業を開始したのは1901年(明治34年)。当時「殖産興業」をスローガンに近代化を進めていた日本政府の国家的な一大プロジェクトであり、全国から優秀な技術者、勤勉な労働者が数多く集まった。そのお膝元であった中央町には遊興の場として料亭が建ち並び、その一軒が今年創業110周年を迎えた「千草ホテル」の前身である「料亭千草」である。
西村弘さんは若い頃から数々の名店で修業し、この道60年以上になる和食の料理人。37歳の若さで「料亭千草」の料理長に就任した後、「千草ホテル」で和食料理長を歴任し、2006年には「北九州技の達人」に認定された。御年77歳になる現在も「私の料理を食べたいというお客様がいる限り」と、「割烹 にしむら」の亭主として現役を張っている。
提供するメニューは7〜9品の「おまかせ会席料理」(14,300円〜・2名より要予約)のみで、この日の献立は付き出しの「タラの白子豆腐と自家製カラスミ」からスタート。素材の良さを生かしたうっすら上品な味付けは、のっけから純米酒を合わせずにはいられない。
色鮮やかな九谷焼の器に盛られた造りは、タイ、ミズイカ、アカガイの3種類。それぞれに、もっちり、ねっとり、シャキッとした食感のコントラストがあり、ただ魚を引くだけではない熟練の技を感じる。
中盤に出てくる焼き物は、八寸皿で提供される「焼き八寸」。車エビ、サワラの焼き物のほか、柚子卵や飾り包丁を入れた野菜、タタミイワシなどが美しく盛り付けられ、目に麗しく、酒の肴としても最高だ。
飯物、水菓子の前に提供される料理の最後は、カマスの利休、北九州名産の大葉春菊に、焼きネギと玉ネギの酢漬けでサッパリと。旬の食材を使った献立の構成と、それぞれの食材の持ち味を引き出す匠の技に、日本料理の真髄を味わうことができる。
料理に合わせる日本酒の品揃えも豊富で、日本酒好きならば30種類以上の銘柄を好きなだけ飲み比べできる「日本銘酒の旅」(4,400円)がオススメだ。青森の田酒、山形の十四代、山口の獺祭などのプレミアムな日本酒を料理に合わせて自由にペアリングできるのは、この上ない贅沢といえる。
店舗はホテル1階の奥まった場所にあり、カウンター6席とテーブル10席の程よいスペース。西村さんと対面で食事ができるカウンターが特等席だが、貸切利用(要相談)もできるので、商談や接待、プライベートな家族の集まりなど幅広いシーンで使うことができる。
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店舗名
割烹 にしむら(店舗写真)
ジャンル
- 日本料理
住所
北九州市八幡東区西本町1-1-1 千草ホテル1F
電話番号
営業時間
17:00〜19:00最終入店、3日前までに完全予約制
定休日
火・水曜
席数
- カウンター6席
- テーブル10席
メニュー
おまかせ会席料理14,300円〜(2名より)、日本酒880円〜
喫煙について
- ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
- ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
- ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
- ※OSはオーダーストップの略です。
- ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
- ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
- ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。
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