グランドメゾン presents 「ハレの日レストラン」【第29回】

香り高い南仏料理と、優美な空間が迎える信頼のレストラン

公開日

最終更新日

ライター葉山 巧

カメラマン平川雄一朗

プロヴァンス仔羊

赤坂

la table de Provence(ラ・ターブル・ド・プロヴァンス)

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僕の愛読書に「南仏プロヴァンスの12か月」というエッセイがあります。南仏に移住したイギリス人の日々を綴った名著ですが、とくに豊かな食文化を紹介する場面が素晴らしく、いつしかプロヴァンスは憧れの地になっていました。そんな僕に旅気分を与えてくれるのが「la table de Provence」。そう。南仏ニースの2つ星店やボルドーの3つ星店などで研鑽したオーナーシェフ、野村健二さんが1998年に開いた人気のレストランです。

プロヴァンス外観

創業当初は3,500円のプリフィクスコースを出すカジュアルな店でしたが、野村さんの実力に惚れこんだ常連たちの後押しもあって「Provence」は徐々にグレード感あるレストランへと成熟。シェフならではの華やかで繊細な南仏料理は、いまも世代を超えたファンを生み続けています。
場所は地下鉄赤坂駅そばのビル1階。入口がやや奥まっているため、明治通りの喧騒はほぼ気になりません。日常と非日常を分ける境界線のような、どっしりした外観も良い雰囲気です。

プロヴァンス店内

ドアを開くと、すぐに現れるのが優雅なインテリア。クラシック調のタイムレスな表情は南仏の別荘をイメージしたもので、これは数々の受賞歴に輝く著名デザイナー、故・橋本夕紀夫さんが手がけた仕事だそうです。とりわけ直線と曲線が織りなす立体的な美しさには僕も毎回感心しきり。記念日はもちろん、ウエディングパーティーなどでも重宝されています。

プロヴァンス香箱カニ

そして、この素敵なシーンを彩るのが10品構成のディナーコース(12,100円)。南仏料理の特色である、多彩なハーブや野菜を生かした品々が次々と披露されます。今宵はホタテ貝のフリット、カルバッチョのカボス風味といった海鮮系からスタート。その流れは4品目の新潟産香箱カニで山場を迎えました。
セルフィーユで香りを付けたほぐし身と、プチプチした内子と外子の旨味を、サフラン風味のマヨネーズや赤ピーマンのムースなどで膨らませた悶絶ものの珠玉作。金沢出身の野村さんはこうした北陸の食材も好んで使っており、とくにこのカニは常連人気も高い秋冬の定番です。

プロヴァンスサワラ1
プロヴァンスサワラ2

続いては白煙を閉じ込めたガラス箱が供され、蓋を開けるとサワラの燻製が登場。これを焦がしバターと赤ワインの2種のソースでいただくと、レアな白身に驚くほどの華が加わりました。複数の要素がふくよかなハーモニーを奏でる、フレンチらしい小粋な“玉手箱”です。

プロヴァンスオマール

フレンチらしさでは、このオマール海老も引けをとりません。快い歯触りの身に加え、オマールのジュを煮詰めたソースの風味が出色。さらにトリュフと栗を加えることで、器に中に濃厚な“秋”が匂い立ちます。

プロヴァンス仔羊2

続く「ポークタンのコンフィ」を食べ終えると、いよいよメインディシュの出番。「牛ホホ肉の赤ワイントマト煮込み」「エゾシカのソテー」など常時6種類から選べ、今回は「南仏産骨付き仔羊のロースト」(+1,800円)をチョイスしました。
一口目からその美味しさに大感激! 臭みがなく、しっとりした歯応えの肉質は官能的で、これまで食べた仔羊の中でもトップクラスの味なのです。仔羊の出汁にエシャロットやローズマリーを加えたソースもベストマッチでした。

プロヴァンス鴨

こちらは連れがオーダーしたメインディッシュ「仏産カモ肉のロースト ハニースパイスソース」(+1,500円)。これまた鴨肉の快い弾力と、約10種の香辛料や蜂蜜などで仕立てたソースのうまさがたまりません。苦味と甘みが混在するコクのある風味が、名状し難い悦楽を口一杯に広げる逸品です。

プロヴァンスデザート

締めくくりのデザートは2品構成で、1皿目は柿とオレンジのゼリーに梨のグラニテ。そしてこの2皿目では、金沢・加賀棒茶のシャーベットとマロンムースがコラボして、気品ある香りとスッキリした甘みを楽しませてくれました。
コース料理はどれも量が控えめで、南仏特有の優しさ・軽やかさがあるため熟年層でも美味しく完走できそう。それでいて最後に幸せな満足感を残すあたりが、野村さんの職人たる所以でしょう。

プロヴァンス店主

創業24年目を迎え、ますます円熟味を増す野村さん。ここから巣立った卒業生が構える10軒以上の店も「レザン・ドール」「オステリア・インクローチ」といった人気店揃いで、そうした意味でも福岡グルメ界に多大な貢献をしてきた方です。
そんなシェフに次なる目標を聞くと「料理の質はそのままに、原点であるカジュアルな店をもう一度やりたいですね」。設備の老朽化もあり、すでに移転先探しも進行中とか。となれば遠からず現店舗は閉店となりますが、それは少し惜しい気もします。先述のように「Provence」は本当に素敵な空間を持つレストランなのですから。だから僕も、近々友人と再訪しようと思います──赤坂のこの店が“伝説”に変わるその前に。

この記事は積水ハウス グランドメゾンの提供でお届けしました。

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店舗名

la table de Provence(ラ・ターブル・ド・プロヴァンス)(店舗写真

ジャンル

  • フランス料理

住所

福岡市中央区赤坂1-13-8赤坂ウイングビル1F

電話番号

092-732-5277前日までに要予約

営業時間

12:00~入店13:00/18:00~入店20:00

定休日

月曜、火曜不定

席数

  • テーブル20席

個室

なし

メニュー

ランチコース2,750円・6,050円・11,000円、ディナーコース12,100円

喫煙について

喫煙可能スペース有り/屋外
  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

記事に関する諸注意

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