洗練されているのにどこか懐かしい「むかしおやつ」

公開日

最終更新日

ライター木下 貴子

カメラマン木下貴子

六本松

木琴堂 護国神社前本店

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国体道路から六本松方面へ向かう城南線沿い、珈琲の名店として知られる「ひいらぎ」のお隣に和菓子屋が誕生しました。

対面にある護国神社の緑とマッチする、白木ベースで上品な落ち着いた外観です。完成前から気になっていたものの、高級そうでふだん使いの店ではないかもと思い、しばらく通り過ぎるだけでしたが、ついにその暖簾をくぐってみました。

予想に反して、内観はレトロなイメージで木の温かみがあり、さらに「いらっしゃいませ」とスタッフが笑顔で迎えてくれ、すぐに緊張が解けました。

ショーケースには、看板商品のどら焼きをはじめ、ビスコッティ、かりんとうが並んでいます。聞くと、「木琴堂」は「むかしおやつ」をコンセプトにしたお菓子づくりをされているとのことです。「派手さで勝負ではなく、じっくり五感で味わえるお菓子を作りたい。そのヒントは、昔ながらの素朴なお菓子づくりの中にありました」と、スタッフの嶋田研人さん。「自然を感じる素材使いや製法など昔ながらのお菓子のエッセンスを取り入れつつ、現代的な感覚で仕上げていくことをポイントに毎日手作りしています」と話してくれました。

店舗も同様に「昔と今」を融合した和洋折衷な造りにしたそうです。表は純日本建築ですがガラスに英語の店名を表記していたり、内観は大正時代の洋風建築の要素が取り入られています。そのイメージに合わせ、カウンターや照明、床などをデザインしたりと、細部にわたってこだわりが見られます。「建物をじっくり見、写真を撮って帰られるお客様も少なくないです」と嶋田さん。

店内には焼き場があり、ほどなくしてどら焼きの皮が焼かれ始めました。鯛焼きや回転焼きを焼く光景はよく見ますが、どら焼きの皮は初めて見ました。焼き型はなく平たい鉄板の上で、パンケーキのように焼かれていきます。ほぼ同じサイズで同じ焼き上がりになるのは、さすがのプロ技。美しいですね。焼く回数は日によって違いますが、平日だとだいたい3回ほど焼くそうです。そのタイミングに居合わせたらラッキーですね。ちなみにこの焼いている様子が木琴を奏でる姿に似ているところが、店名の由来の一つだそうです。

焼き場から漂ういい香りに反応して、お腹がぐぅ。どら焼き2種類、ビスコッティ、かりんとうを購入して帰路につきました。

まずは、どら焼をいただきます。どら焼きは黒餡と白餡があります(各410円)。皮はふっくら焼き上げられていて、これまたパンケーキのようなふんわり感。一方、餡は豆の形を極力残すよう練られているため、ほくほくとした食感です。生地も餡も甘さが抑えられていて食べやすいうえ、素材の味もよく感じられます。なんでも生地は小麦粉のみならず全粒粉と米粉も使い、黒餡は旨味と栄養を閉じ込めるためあえて渋切をしていないそうです。また、素材も吟味し、黒餡には北海道産「あかね大納言」を、白餡には北海道産大手亡豆が使われています。

続いて、米粉と豆のビスコッティです。3本入り(432円)と7本入り(918円)がありました。グルテンフリーを意識した米粉100%のビスコッティで、小豆、白いんげん、うぐいす豆、くるみの4種類のいろいろなカリカリ感が味わえます。洋菓子ですが、豆は鹿の子にするなど和菓子の手法も取り入れています。ビスコッティはカチカチに固いのが特徴ですが、オーブンで焼き直すとふわっとなり別の食感も楽しめます。

ラストは、お店で見た時点でかなり気になっていたかりんとうです。はい、みなさんも思いますよね、「これが、かりんとうなの?」って。かりんとうは棒状が常ですが、「木琴堂」のかりんとうはまるでおせんべいのように平たく、薄く焼かれているのです。嶋田さん曰く、「おせんべいのような商品もラインナップに加えたいと考え、このかりんとうにいきつきました。想像できる味と想像できない食感のギャップがポイントです。昔ながらの味に新しさをプラスした、木琴堂らしい商品になりました」。

おせんべいと言っても、うす焼きせんべいほどの薄さなんです。ですから噛むとパリっと割れるのですが、口に入るとかりんとうならではのサクサクした食感になるのだからなんとも不思議です。これは言葉での説明は難しい……店頭で試食ができるので、ぜひお試しを。そして、味は黒糖ベースに胡麻と醤油が合わさって甘じょっぱく、やめられないとまらない系のものでした。かりんとうは5枚入り1,188円。箱入りということもありますが、何より贈る相手の驚く顔が容易に目に浮かぶので、手土産にも最適です。

洗練された中に、懐かしさと温かみがある「木琴堂」のお菓子。今後は「きなこ棒」をアレンジしたお菓子や、夏場にはアイスキャンディ、プリンなども予定しているそうです。最初はあんなにお店に入るのを躊躇していましたが、これからは自分にご褒美をあげたいとき、あるいは手土産を買うときなどに通ってしまいそうです。

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店舗名

木琴堂 護国神社前本店(店舗写真

ジャンル

  • スイーツ

住所

福岡市中央区六本松3-16-33グランドソレイユ護国神社前1F

電話番号

092-753-9457

営業時間

10:00〜18:00(完売により閉店の場合あり)

定休日

不定

メニュー

どら焼き(黒餡・白餡)各410円、米粉と豆のビスコッティ3本入り432円・7本入り918円、かりんとう1,188円、そのまんまあずき378円

喫煙について

禁煙
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  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
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  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

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