香椎の人気フレンチ「颯香亭」が宮若市へ! 移転にかけた想いを訊く ~後編~

公開日

ライター葉山巧

カメラマン弓削聞平・葉山巧

宮若市

MIYAWAKA Soukatei(ミヤワカ・ソウカテイ)

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MIYAWAKA Soukatei

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客、食材、産地、生産者と、あらゆるものに慈しみの眼差しを注ぐ金丸さん。そんな心優しき職人を“独占”できるシェフズテーブルも設けられていました。目の前で調理にいそしむ金丸さんと、より濃密な時間を過ごせる最大4名のカウンター。この特等席、いつかは予約してみたいものです。

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またこちらの客席はすべて個室仕様で、全4室どこからもまばゆい緑が眺められます。すると「食事の場は個室だけとは限りませんよ」と金丸さん。ロビーでマダムと談笑しながらアミューズをつまんだり、臨場感ある厨房のそばでワインを傾けたり、デザートは庭園を選んだりと、館内すべてが“客席”なのだそう。「レストラン自体が楽しい体験をする空間。どこでもご希望のスペースをお使い下さい」とにっこり。料理だけでなく、ここでは過ごし方もオートクチュールというわけです。

MIYAWAKA Soukatei

もちろん料理の方も、期待を超えた比類のないものでした。メニューは予約時に詳細に要望を聞き、可能な限り客ごとの好みに合わせたコースを構成。ランチは最低10品、ディナーは13~16品が提供されます。

冒頭を飾るこのアミューズにも驚きが満載でした。庭で摘んだばかりに見える“小枝”は、宮若市の全粒粉で焼いたビスケットを、地元の酒と赤ワインで煮た牛スネ肉を挟んで食す料理。一緒に添えた自家製発酵クリームや煮こごりも、未知の風味と食感を生むのに貢献していました。小品にも関わらず、皿からあふれそうな情報量に圧倒されるばかりです。

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続く冷前菜も自然の恵みを圧縮したような一品。野菜はどれもここの菜園で採れたもので、パイ生地の上にオクラやトマトの花・蕾を乗せてあります。周りにはトマトから搾った透明なソースや、地元産果実のペーストといった上品なフレーバーを配置。風味は複雑なのにホッと親しみが湧くのは、活力ある食材の力によるものでしょうか。

MIYAWAKA Soukatei

この日のメインディッシュは、嘉麻市の敏腕猟師が仕留めた鹿肉。薪で香り高く焼きあげた至高の素材は、これぞジビエの真骨頂と呼べる仕上がりです。地元産の黒米や花山椒の塩漬けなど、付け合わせも実に手が込んでいました。

MIYAWAKA Soukatei

デザートに野菜を使うのも金丸流。これはバジルのシャーベットを、地元産バターナッツカボチャのアイスで包む優しい甘さの逸品です。トッピングにはクッキー生地と、隣町のジャージー牛乳で米を炊いたリオレが使われていました。

どの料理も精緻な発想と技巧に満ち、一瞬も口福やため息の絶えない珠玉のコース。これらを形にするには途方もない準備や労力が要るはずですが、こうした献身の原動力を「お客様への感謝」と金丸さんは言い切ります。「9年前に病を患い、あと何年仕事ができるかと考えるなかでそう痛感しました。ミシュランの星をもらった時も、料理ではなくお客様に取らせていただいた気がしたんですね。以後はお客様のため、よりいっそう高みを目指そうと努めています」

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こうした感謝や愛情は、いま宮若市へも向けられています。先述した「トライアル」のプロジェクトが始まり、金丸さんも動きだしたのです。市の公共施設や商業施設の跡地を活用し、AI開発拠点・店舗・ホテルなどを順次展開するというのがプロジェクトの柱。金丸さんはそこにフードプロデューサーとして関わります。
「ずっと産地や生産者さんの役に立ちたいと望んでいたので、この仕事は願ってもないことです。市の活性化を手伝うことが皆さんへの恩返しになれば」。そう。料理の進化/深化に努める一方、金丸さんは食の力による“まちおこし”にも挑んでいるのでした。成功すれば地方再生の新たなモデルケースになりそうです。

MIYAWAKA Soukatei

“客思いの店づくり”“地域貢献”という長年の夢とは別に、来年は自身のオーベルジュを開くという夢も控えています。「普通レストランの滞在は2、3時間ほどですが、常々お客様ともっと時間を共有したいと思っており、オーベルジュならそれが実現できるなあって。自然や家族や料理のこと……いろんなことを語らいたいですね。私もマダムも、その日が待ち遠しくてたまりません」

宮若市の大自然に生まれた迎賓館のようなレストラン。これから多くの客たちが、ここで心のアルバムに笑顔や感動を加えてゆくことでしょう。慈愛に満ちた夢をひたむきに実践する、金丸さんご夫妻と過ごす時間。それこそが一番の宝かもしれないな──ふと、そんなことを思い浮かべました。

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店舗名

MIYAWAKA Soukatei(ミヤワカ・ソウカテイ)

ジャンル

  • フランス料理

住所

福岡県宮若市乙野666-2

電話番号

080-1743-9270完全予約制

営業時間

12:00~OS13:00/18:00か19:30の一斉スタート(火・水曜は夜のみ)

定休日

不定

座席

  • カウンター4席
  • テーブル16席

個室

4〜8名

メニュー

ランチコース13,200円、ディナーコース16,500円・22,000円・27,500円・35,000円

  • ※この記事は公開時点の情報ですので、その後変更になっている場合があります。
  • ※「税別」という記載がない限り、文中の価格は税込です。
  • ※掲載している料理は取材時のもので、季節や仕入れにより変更になる場合があります。
  • ※OSはオーダーストップの略です。
  • ※定休日の記載は、年末年始、お盆、祝日、連休などイレギュラーなものについては記載していません。定休日が祝日と重なる場合は変更になる場合があります。
  • ※編集部の都合により撮影時にマスクをはずしていただいたり、アクリル板をはずしていただいて撮影している場合があります。
  • ※掲載しているメニュー内容、営業時間や定休日等はコロナ禍ではない通常営業時のものですので、おでかけの際にはSNSや電話でご確認ください。

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