厳選素材を炉端焼きで昇華。五感で味わう大人の嗜み

福岡の数ある飲食店の中でも、一際注目を集めている店を紹介する、福岡繁盛店探訪シリーズ。第2回目として訪れたのは「鎮座 タキビヤ。」。店内で豪快に焼き上げるわら焼きの店としてイメージしている人も多いのではないでしょうか。

店は中央区今泉1丁目の路地に面し、目立つ場所でないにも関わらず、日々賑わっている様子が外からでも伺えます。平尾にあった店（現在は閉店）の2号店として2015年にオープンし、“タキビヤらしい”食の楽しみ方を発信し続けています。
そんな繁盛店の魅力を改めて確認すべく、いざ訪問！

店内は、厨房を目の当たりにするカウンターがメイン。テーブル席もあり、2階には1組限定の個室（写真）も完備されています。ここはやはり、調理風景がよく見えるカウンター席に着席することに。

旬の味を楽しめるよう、メニューは季節ごとに変わり、この夏の時期は「トウモロコシの冷製茶碗蒸し」（550円）や「白桃の水茄子とミントのサラダ」（638円）など、爽やかな料理がラインアップ。いろいろと目移りしますが、まずは定番を押さえていきます！

最初に注文したのは、「お刺身三点盛り」（1人前770円）ですが、運ばれてきたお皿には、魚が5種類乗っています。「あれ、注文間違えたかな……？」と思ったのがですが、実はこれ、「タキビヤ」ならではのサプライズ。価格は変わらず、「三種盛りですが、特別に五種盛りしました！」というのが定番ですが、何度経験してもうれしいサービスですね。この日は、カツオのたたき、マダイ、イサキの炙り、カンパチ、マグロのホホの5種が宝石のように散りばめられていました。

これに合わせたいのが日本酒です。お酒担当のスタッフさん曰く「日本酒は九州に限らず、自分たちがおすすめしたいお酒を全国から厳選しています」。常時10〜14種ほど用意されているので、飲み比べながら料理とのペアリングも楽しんでみてくださいね。

刺身を堪能したあとは焼き魚もお見逃しなく。赤ムツやアマダイ、大トロイワシなど、鮮度抜群の魚種をそろえています。今回は、ウロコのパリパリ感を味わってみたくて「アマダイ」（2,500円）をチョイスしました。

まず、オーダーが入ってから魚を串に刺し、魚の表面に油をじっくりとかけます。すると、みるみるウロコが起きあがり、この時点で香ばしさが漂ってきます。そして、囲炉裏で焼くこと約20分。炭火の遠赤外線効果で旨味が凝縮された焼き魚の完成です。

まずは豪快に一口でがぶり。パリパリになったウロコとふっくらとした身が口の中で融合し、香ばしさと絶妙な甘味が一気に広がります。冷酒もいいですが、やっぱり熱燗との相性は最高でした！

次にオーダーしたのは、「こだわりのポテトサラダ」（528円）。揚げたジャガイモの上にポーチドエッグとカッテージチーズが乗り、自家製マヨネーズが添えられた人気メニューです。一見ポテトサラダに見えませんが、フォークとスプーンで具材を潰しながら混ぜれば完成。
ジャガイモの食感や味をしっかりと感じ、シンプルな具材ながら濃密な味付けがお酒によく合います。
味の決め手となるのはマヨネーズ。マヨネーズが苦手な人でも食べられるように工夫しているそうで、アンチョビやマスタードが入っていて、濃厚だけど優しい味わいになっています。このポテトサラダ専用で作っている自家製マヨネーズだけあって、メニュー通り“こだわり”が詰まった一皿なのです。

料理やお酒を味わいながら感じたのは、居心地の良さです。店内のほっこりした雰囲気とホスピタリティあふれる接客のおかげで、楽しいひとときを過ごすことができました。このあたりも繁盛店たる所以なのではないでしょうか。季節ごとに、いや、定期的に通いたい心の拠り所ですね。