プロの目利きに脱帽！　毎朝長浜市場で買い付ける絶品の魚料理を

福岡市には日本有数の取扱高を誇る長浜鮮魚市場に加え、多くの料理人が信頼する魚屋が集まる柳橋連合市場があり、新鮮な魚を仕入れるには事欠きません。それなのに何故「魚がうまい」と評判になる店と、そうでない店の差があると思いますか？　魚好きとしては人後に落ちないと自負している筆者ですが、その理由はズバリ目利きにあると考えています。
「魚場 かやいち」の大将・萱野孝一さんは、祖父の代から中洲で魚屋や仕出屋を営む家系に生まれた三代目。生まれながらの環境で培われた目利きで、とびきりうまい魚を食べさせてくれます。

獲れたての鮮魚は素人目にどれも同じように見えますが、本物を見分けるプロの目利きは違います。毎朝長浜市場に出向いては「魚体のサイズや形、色味や脂の乗り具合を見て、一本一本買い付けています」と萱野さん。さらに魚種によってそのまま引いたり、熟成をかけたり、炙ったりと、それぞれの持ち味を最大限に引き出す工夫をして提供しています。
写真の「刺身盛り合わせ」は、地物の天然マダイ、高級魚の金目鯛、炙ったサワラ、五島のサバ、生本マグロの5種2点ずつで、なんと1人前1,080円という超破格のお値打ち価格！　もうこれだけで、来た甲斐があったというもんです。

いやいや、まだまだ満足するには早すぎます。この店で絶対に食べておきたい必食メニューが、名物の「本まぐろのど肉煮付け」（990円）。のど肉はまぐろのカマ（首）のさらに下にある部分で一匹からとれるのはごく僅かな超希少部位ですが、古くから付き合いのある仲卸を通して安定して仕入れることができるそうです。
甘辛く煮付けた塊にしゃぶりつけば、骨と骨の間にトロットロのコラーゲンがたっぷり！　日本酒や焼酎に合うだけでなく、美肌効果も期待できて女性にもオススメです。

大将の目利きで選んだ魚介類は、刺身、焼き物、炒め物、煮物、揚げ物など、調理法も多種多彩なバリエーションで食べられます。プリプリと太って脂が乗った宮崎産の「めひかり唐揚げ」（650円）は、外はカリッと、中はふんわりとした食感の絶妙な揚げ具合。レモンを絞ってヒマラヤ岩塩をチョイとまぶして食べれば、これまたお酒が進んで仕方ありません。

魚に合わせて全国の蔵元から取り寄せる日本酒も、旬の食材に合わせた季節酒をはじめ、常時約30種類が揃う充実のラインナップです。冷酒から燗酒まで、好みを伝えれば大将が魚料理に合う酒を勧めてくれますよ。

夜はほとんど人通りのない綱場町の問屋街にあり、間口も狭いのでカウンターメインの店かと思いきや、店の奥には掘りごたつ式の座敷と個室も完備されています。うまい魚を食べながらの一人飲みから、グループでの会食や宴会まで、幅広く使える大人な雰囲気の海鮮居酒屋です。