友人宅に招かれたようなくつろぎの時間と空間

家族で、接待で、女子会でいつものランチよりちょっと贅沢に。ゆったりとした時間を過ごしたい方にオススメのランチシリーズ。今回は桜坂にある「Bless」に伺いました。

　今回訪れた「Bless」は、城南線沿いの「雙葉学園入口」バス停目の前、クラシックなマンションの1階にあります。扉をくぐるとオーナーであるマダムの一木美栄子さんが温かく迎えてくださいます。
　こちらは6年前にマダムの声掛けで数名のシェフが集まって始めたレストランだそうで、同じメニューでも日によって味や盛り付けが変わるというユニークなスタイル。常連さんが頻繁に来られても、飽きずに楽しめるように工夫されているそうです。
　大きな窓がある明るい店内も落ち着いた雰囲気で、友人宅のリビングダイニングに招かれたような居心地のよさ。ちなみに、窓際の席はラッキーシートになっていて、この席に座るとドリンクが1杯サービスといううれしい特典もあります。

　ランチコースは3300円と5500円の2種、コースのほかに単品でカレーやパスタなどもあります。今回いただいたのは3300円のコース。スタートは6種のアミューズが盛り合わされたプレート。「とりハム」「ローストビーフ」「かきのコンフィ」「リエット」「サーモンのマリネ」「レバーの赤ワイン煮」と、手間暇かけて作られた料理が並び、ひと口サイズながら、それぞれに素材の主張を感じるしっかりとした味わいです。
　次は「かぼちゃのポタージュ」。すくなかぼちゃとくりかぼちゃの2種をミックスしていて、かぼちゃの優しい甘みとなめらかな舌触りが絶妙です。

　この日のメインは「若どりのコンフィ」と「牛すね肉のストロガノフ」の2種からセレクト。この日は3名で訪れたので両方をオーダーしました。通常はこの2種の肉料理に魚料理が加わり3種から選べるそうです。「若どりのコンフィ」はお客さんの８割が注文するという看板メニューで、オイルで煮るという調理法も見た目もシンプルな料理ですが、仕込みから調理、寝かせるまで3日間かけてじっくり作られているそうで、深みのある味に仕上がっています。
　一方「牛すね肉のストロガノフ」は牛肉が口の中でトロけます。どちらもなかなかのボリュームで、すでにお腹はいっぱいに。

　といいつつも、やっぱりデザートは別腹。５種も盛られたデザートにテンションが上がります。手間から半時計回りに、小麦粉をいっさい使っていない「ガトーショコラとオレンジピール」、焦げが香ばしい「バスクチーズケーキ」「かぼちゃのドーナツ」「ほうじ茶とプレーンのクッキー」、中央が口直しの「トマトのジュレ」です。コーヒーまたは紅茶とともに、食後のひとときを優雅に楽しめます。

　料理もデザートも優しい味わいのものが多く、「口にした物でしか体は作られない」という考えのもと、料理のすべてを手作りにこだわり、油や乳製品の使用が多いフレンチも代替の調味料を使い、体に優しい料理を心がけているのだそうです。栄養士でもある一木さんの思いに、シェフたちも共感して料理を手がけています。

　子どもからお年寄りまで、訪れるすべての人に“bless”（＝祝福・幸福）を届けてくれる、そんな優しさに溢れる店でした。