まだお酒飲んで自転車に乗ってない？

昨年の11月に法改正があり自転車の飲酒運転の罰則が厳しくなりました。それ以降、お邪魔したお店のスタッフから「お客さんが自転車の飲酒で捕まって20万払ったって言っていた」といった話や、スタッフ自身が検挙されて罰金を払ったという話も聞くようになりました。最初は周りの人も「へー、捕まる人いるんだねぇ」とか「罰金ってめちゃくちゃ高いんだねぇ」という反応でしたが、あれから１年と少し経った最近では、車同様自転車も飲酒運転はしてはいけないという意識が浸透してきたようです。そういえばシェアサイクルの「チャリチャリ」も乗ろうとすると、「お酒を飲んでいませんか」という注意勧告が表示されるようになりましたね。

ただ、２０年前、車の飲酒運転の罰則が厳しくなったときもそうでしたが、これまでダメとは知ってはいたけれど運転していた人たちが飲酒運転しなくなることにより、飲食店の客数に影響を及ぼしています。これまで自転車に乗って週に１回来てた人が月に１回になったり、２軒はしごしてた人が１軒で帰るようになったという声は、お店から何度となく聞いており、これはお店としては死活問題で、飲酒運転はいけないと思うけれど、頭が痛いというお店も少なくありません。

昨年の法改正まで、自転車にも酒酔い運転の罰則はあるものの、酒気帯び運転（血液1ml中にアルコール0.3mg以上、または呼気1L中に0.15mg以上）は罰則がありませんでしたが、酒気帯び運転にも3年以下の拘禁刑または50万円以下の罰金が科されるようになりました。なお、酒気帯びの罰則は身体に保有するアルコールの量により判断されますが、酒酔いはアルコール量ではなく警察官が会話・歩行・直立といった行動を確認して判断するそうです。

実は飲酒に限ったことではありませんが、自転車の運転において極めて危険な状態で検挙されると、車の免許が停止されることもあるって知ってましたか？　実際に道路の中央を自転車で走って歩行者と衝突したうえに逃亡し、相手に2週間のケガを負わせた人が、90日の免停になったという事案もあるそうです。自転車に免許はいらないから、私自身、車の免許とは無関係と思っていましたが、こういう実例もあるのでくれぐれも注意してください。

車の一方通行や一時停止など軽微な違反は、ほとんどの場合、検挙された場所で反則金の振込用紙（青切符）を受け取ります。しかし、自転車の飲酒運転の場合は、警察署（交番ではないですよ）に任意同行を求められたり、逮捕・連行されそこで話を聞かれることもあります。そして、具体的な処罰の内容は後日裁判手続きによって決められることになります。
同じ違反に対してお金を支払うことですが反則金と罰金は違います。反則金は比較的軽微な交通違反に科され支払うことで刑事罰を回避できますが、罰金は重大な違反に対するもので、裁判手続きによって罰金額が決められるというわけなのです。

また、近年かなり増えている特定小型原動機付き自転車（いわゆる電動キックボード）は、運転に免許は必要ありませんが、飲酒に関しては原動機付き自転車と同じ罰則になります。

本人だけでなく、飲酒してる人に自転車を貸したり、自転車を運転するとわかっている人にお酒を提供すると罪に問われますが、もちろん運転者が「自転車は押して帰る」などと言っていた場合はその限りではありません。運転者に嘘をつかれてしまうと、お店側はどうしようもありませんもんね。なのでお店のスタッフの皆さんは、自転車で来ているお客さんに対しては「自転車は押して帰ってくださいね」と一言かけましょう。もっとも、ほとんどのお店では、お客さんが徒歩で来たのか、自転車で来たのかまではわからない場合が多いとは思いますが。

そして、来年の4月１日からは自転車の運転にも「交通反則通告制度」が導入され信号無視や無灯火などの違反も車のように反則金を支払う対象になります（16歳以上）。これは今の意識で運転してるとバンバン捕まるのではないでしょうか。小さな交差点で信号無視してる自転車なんてよく見かけますが、歩行者の立場としてひやっとした経験がある人も多いのではありませんか。

飲酒運転は自転車であっても実際に事故につながっていますし、注意散漫になったり気が大きくなりとても危険ですので、車同様、「飲んだら乗るな」を徹底しましょう。