






〈Made in KYUSHU 物語〉できたてめんたいと釜炊きご飯。究極の博多ランチ見つけました
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「野趣を楽しむ」とはこういうことか──。そんなダイナミズムに満ちた、魅力的な鍋を紹介しましょう。出会いの場は、大名の路地奥に隠れるようにある「台所 ようは」。明朗快活な店主、大塚瞳さんが営む人気店です。
かつて海外で地元の料理を学び、「食の空間演出家」として国内外を飛び回った大塚さん。近年は旅館のメニューをプロデュースしたり、東京と福岡で出張料理をやったりと、かなり興味深いプロフィールを持つ彼女が昨年構えた店がここ。各地の生産者を訪ね歩き、厳しい目と舌で美味しいと判断した食材だけを集める料理店です。
そんな“真の贅沢”を知る人々の支持を集め、連日賑わう「ようは」を初訪問。築40年余の建物をリノベーションした客席にはなごやかな昭和が薫り、「台所」と呼ぶには広すぎる空間もリラックス度満点。女性スタッフたちのもてなしも得難い華やぎを添えていました。
「毎日県の内外を車で回り、農家や道の駅で食材を仕入れるところから私の仕事は始まります」と大塚さん。メニューはその日の“収穫”をもとに帰りの車中で考えるとか。従って固定メニューは少なく、いつ来ても極上の旬を様々な形で楽しめるわけです。
手始めに頼んだ「おばん菜盛り合わせ5点盛り」(2,500円)も日替わりで、この日はモロッコインゲンのニンニク醤油和えや、シナモンやナツメで味を入れたサツマイモなどに五感をくすぐられました。どれも歯応えや香りをしっかり残した仕上がりで、一口ごとに食材への慈しみが伝わります。
鍋の前にもう1品、台湾の郷土料理「中国醤油漬けしっとり丸鶏」(3,000円)をオーダーしました。吸い付くような食感に加え、何種類もの現地の調味料で再現したオリエンタルな味わいがなんとも素敵。奥行きのある複雑なうまさは「ようは名物」にふさわしい逸品です。
そして、ついにお目当ての「秋田の三関せりと炭焼き穴子、牛蒡なべ」(1人前5,400円。写真は2人前)と対面。まずはどっさり盛られた具材のオーラに息を呑みます。内容は料理名そのままに、炭で焼いた対馬産の穴子、ゴボウ、そして秋田県湯沢市の三関(みせき)地区で栽培された三関セリ。一見地味な顔ぶれですが、その堂々とした素朴さが、逆に内なる輝きを語りかけてきます。
「穴子が主役のようですが、一番召しあがって欲しいのはセリですね」。葉よりも根が美味しい三関セリは、秋田で食べて惚れこんだ大塚さんが、旬の時期だけ生産者に送ってもらうのだそう。来年2月頃まで楽しめる、福岡県民には幻の激レア野菜です。
店舗より提供
それでは実食。まずは煮立ったスープにゴボウを入れ、じんわり香りを移します。スープは昆布、鰹出汁、少々の酒だけで、あとは具材の旨味で楽しむスタイル。具材がざっくり大きめなのは「何を食べているか分かるように」との配慮で、内容を3種に絞ったのもそれが理由です。さてスープもいい具合になり、穴子とセリに箸をつけたところ、突如大塚さんから「待った」がかかり……。
自ら鍋奉行を買って出てくれました。「普段はお客様にお任せしますが、手が空いた時は私が仕切ります(笑)。やっぱり鍋にはジャストのタイミングがありますから」と、穴子を手際良くしゃぶしゃぶしては器に取り分けます。上品な出汁をたっぷり含み、炭の香ばしさとふっくら感を従えた穴子は未体験の格別な味でした。いや、これは本当にうまい!
店舗より提供
イチ推しの三関セリもまた、同様に忘れがたい食材になりそうです。根の部分を噛むたびに、耳奥で「シャキッ」と響く快音。澄んだ風味から立ちのぼる大地の野趣。それは食べることの意味や醍醐味を思い出させる、どこか懐かしい味でした。まるで、自然の滋養を取り込むことが目的だった原初の食卓のような……。まさに過剰も不足もない迫真のうまさで、「この鍋には締めの雑炊や麺を用意していません」との言葉にも素直に頷けました。
ほかにもここには、身体が喜び、浄化や癒しを与え、食材ありのままの魅惑を愉しませる料理がずらりと並びます。なかでも大塚さんは鍋や汁物が大好きで、夏でも冬でも「温かいものを胃に入れる幸せ」に魅せられるそうです。「不思議と食欲が湧くし、すごく穏やかな気持ちになるんですよね」。それはまた、数多の常連が「ようは」という店に感じていることかもしれません。
店舗名
台所 ようは
ジャンル
住所
福岡市中央区大名1-4-28
電話番号
営業時間
17:00〜22:00
定休日
月曜、その他不定
メニュー
薬膳鶏なべ4,800円(1人前)、本日の鮮魚刺身1,200円、よだれ鶏1,000円、自家製手打ち餃子990円〜、厚切り牛舌ステーキ1,200円
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